「娘とともに子育てをするブロメリアガニの驚きの生態と進化の道筋」講演会

2016年06月26日 20:22

世界の優れた水生生物の研究をした研究者に送られる「神戸賞」にドイツのRudolf Diesel博士が選ばれました。その授賞式がホテルオークラ神戸で行われました。また記念講演会 「娘とともに子育てをするブロメリアガニの驚きの生態と進化の道筋」が、行われました。

(Speial thanks!  写真は須磨水族園から許可を得て提供を受けました。)

 受賞者のRudolf Diesel博士は、海産、陸生のさまざまなカニ類の社会行動を研究し、珍しい生態を以下のように明らかにしてきました。

有名なブロメリアガニMetopaulias depressusはアカテガニに近いなかまで、陸生のカニであり、ジャマイカの固有種でブロメリアの葉の根元にある水たまりに、幼生を放ち育てます。育てるのは母カニですが、通常、1匹のメスのヘルパーがおり、これは母カニの最初のバッチのなかの一匹です。それが次からのバッチの子供を育てます。世話は、水たまりに落ちてくる葉やゴミを取り除く、幼生を食べにやってくるムカデやコオロギを撃退する、またそれらを捕まえてハサミでちぎり子ガニに与える、水が酸性にかたむかないようカタツムリの貝殻をいれて中和して中性を保つ、などです。

Diesel博士は、さらにカタツムリの貝殻にたまった水のなかで幼生を育てるカニSesarma jarvisiを発見しました。本種は陸生のカニで、アカテガニに近いなかまです。ジャマイカの森林地帯の石灰岩質の場所に生息します。ここに生息するカタツムリの貝殻にたまった水の中に、メスガニは幼生を放ち、およそ2〜3ヶ月もの長期間その貝殻と子ガニを守ります。これはブロメリアガニに次ぐ幼生とカニを母カニが守る種の発見でした。

また、Diesel博士は、潮間帯の上部にある岩のくぼみで子育てをするカニArmases miersiiを発見しています。これはジャマイカの海岸地帯に生息するアカテガニに近い仲間です。本種は岩礁潮間帯の上部にある水のたまった岩のくぼみに、メスガニは繰り返し繰り返し幼生を放ちます。この水たまりは、塩分濃度やpHや水温の変化が非常に激しいが、その幼生はそうした厳しい環境に適応した特殊なものです。

Diesel博士の研究で、若いころのものとして、彼を一躍有名にしたのはパトロールシステムとよばれる配偶様式をもつカニの発見です。これは浅海性のクモガニの一種Inachus phalangiumです。このカニのメスは大型のイソギンチャクに共生しています。一方オスは共生性でなく自由生活をしている。オスは、メスをその宿主のイソギンチャクごと防衛します。大型のオスは複数のメスとそのイソギンチャクを防衛し、その縄張りをいつもパトロールしています。